高品質なプロポリスの見分け方
どんなプロポリスが期待できるか?
現在、プロポリスの大半は液体の形で市販されていますが、これは簡単に言えばミツバチの巣からとったプロポリスの乾燥した固まり(原塊)を溶かして液状にしたものです。
このとき、どのような形でプロポリスを抽出するかでも、プロポリスの品質は変わってくるといえるでしょう。
現在プロポリスは梅酒などの一般薬用酒と同様に、衛生・安全性の確保の面から、さらにプロポリス成分を十分に溶かし、引き出す能力の面からアルコール抽出が一般となっています。
最近、飲みにくさなどから遠心分離機や凍結乾燥の技術を使って水抽出のプロポリスも市販されています。
ただ私の経験ですが、この水抽出のプロポリス製品にはカビが発生しました。
やはりアルコールでの減菌作用は、消費者保護の観点からも大切なことかと思います。
また、水には溶け出さないプロポリスの成分も多く、せっかくの天然の貴重な贈り物が生かしきれないということにもなります。
こうした欠点のない水抽出のプロポリスが開発されれば、プロポリスは現在以上に普及し、さらに多くの人が高品質プロポリスの恩恵にあずかれるようになると思います。
さらに、最近の製造法として「ミセル化抽出法」があります。
これには乳化剤として界面活性剤が使われているので、やはり常飲した場合のことを考えると不安が残ります。
また、選別選択的抽出の基準となる有効成分の確定が、現在のプロポリス研究では究明しきれていないことがあり、これらが解決されれば理想的なプロポリス製造技術といえると思います。
また最新の製造技術として、「超臨界抽出法」がありますが、液化二酸化炭素に抽出されないプロポリス成分があり、この点が今後の研究に待たれるところだと思います。
以上の抽出技術法を考えてみると、現在の技術水準では「アルコール抽出法」が成分抽出では多くを期待でき、かつプロポリスの自然状態のままの相乗作用としての高い薬理効果を期待できること、また長い間の薬洋酒としての安心できる経験がある点などから、飲む人にとっては品質を信頼できる製造方法であるといえます。
なお、アルコール抽出のプロポリスが飲みにくいということでしたら、市販のカプセルに入れて飲むという方法があります。
また、ハチミツに混ぜて食べてもいいでしょう。
蜂製品同士なので相性もよく、食べやすい方法です。
どうしても飲めないという人は、錠剤化されたプロポリス製品の中から最高品質のプロポリス錠剤を求めるという方法もあります。
ただし錠剤の場合は、加熱・加圧などの加工処理過程が加わることと、成分の大半は凝固剤(骨粉などの粉末)であることなどのデメリットもあります。
多種多様な成分を含むプロポリスは、化学的に合成された西洋薬(新薬)と違い、その成分が一定ではありません。
ミツバチが集める蜜源となる自然の樹木の種類、地域環境、分泌物を混ぜるミツバチ自身の種類、ミツバチの採集してくる時期などによって大きく異なってきます。
そこで、プロポリスを採集地や採集ミツバチの種類ごとに化学分析し、類型化を行ない、そのうちから中心骨格とすべき最高品質のプロポリスを選び、そのプロポリスにさらに、あらゆる患者の治療に適するように他の成分を含むプロポリスをも加えて補い、自然のそのままの形で漢方処方的に、さらなる最高品質のプロポリスを製法するのが最善であると考えます。
西洋医学的発想で、プロポリス成分を細かく単離し、それらを組み合わせて人工的に一定のプロポリスを生産することには、特にまだまだプロポリス組成の成分自体が解明されていない段階であることからも、あまり賛成はできません。
漢方処方的に最高品質のプロポリスを製造し、自然のままの状態で最高の相乗効果を導き出せるプロポリスを製造することが、いまだわずかしかプロポリスを解明できていない人間が、4200万年以上もあらゆる病気と闘い生き続けてきた大先輩のミツバチの智恵に対する敬意と感謝でもあると思えるのです。
プロポリスの品質は採集してくるミツバチの品種によっても違いがありますが、分析の結果では、ヨーロッパ種のミツバチよりも、ブラジルのアフリカ系ヨーロッパ新種のミツバチの分泌物を混ぜて作り出されるプロポリスのほうが、より多くプロポリス主成分のフラボノイドを含有しているといわれます。
また、このブラジルミツバチは他の品種にくらべて、群れの中でのプロポリス採集に取りかかっている数の比率が高く、かつ行動力もあるためプロポリスの生産能力が高いといわれます。
ところで、トウヨウミツバチ系のニホンミツバチについては、巣への固守性がなく簡単に巣を放棄して逃亡するため、プロポリス生産のみならず養蜂そのものが日本では発達しませんでした。
明治時代に入り、毒性が少なく飼いやすいセイヨウミツバチを導入してから、ようやく日本でも養蜂が本格化し、プロポリスへの関心にいたっては、つい最近のことになります。
プロポリスの国別産地では一般にブラジル産が良質といわれますが、その一般的理由を考えてみたいと思います。
まず、ブラジルは、農薬など公害に汚染されていない大自然のままの広大な森林が多いこと、次に、薬効が高いといわれるバッカリスやユーカリ系森林がサンパウロ州やミナスジェライス州を中心に、日本の面積の2倍以上に及んでいること、さらにアマゾン川流域を中心に、世界最後の霊薬供給地と言われているくらいに未知のものを含む生薬が多いことなどが考えられます。
最近、製薬分野でのアマゾン流域の遺伝子生物資源開発をめぐるブラジルとアメリカのせめぎあいが表面化していることからも、この地域は豊かな植物資源に恵まれていることがうかがわれます。
このような大自然の天然の恵みを受けているブラジルだからこそ、高品質のプロポリスができるのでしょう。
また、その恵まれた大自然とともに重要なことは、プロポリスの原料の一部である分泌物を出すミツバチの品種が、アフリカ系とヨーロッパ系との混合新種であることにもよると考えられます。
もっとも、ブラジル産であればすべて高品質ということではなく、ブラジル国内の地域や気候などの違いにより、大きく質の差があります。
もちろん、保管や製造技術によっても質の差が生じてきます。
※品質の良いブラジル産プロポリスができる条件
・農薬・公害などに汚染されていない大自然のままの広大な森林
・薬効の高い広大な原生林
・未知の生薬を含む生薬の宝庫であること
・ミツバチがアフリカ系ヨーロッパ新種(混合種)であること
品質の良いプロポリスの見分け方
≪原塊の見分け方≫
ミツバチの巣からとったプロポリスは、固まりとなっています。
このプロポリスの原塊は、普通の人はあまり見ることもないかもしれませんが、ブラジルなどの産地に行ったときに手に入れようとするなら、その品質をよく確認してから購入することをおすすめします。
抽出前のプロポリス原塊は、緑系の茶色で、不純物が混じっていないものが良質のものです。
不純物が混じっているものは黒色に見えます。
赤っぽく見えるものは、樹脂系と言われる松の木からの採集が多いものです。
原塊でベタつき悪臭がするものは、品質の悪いプロポリスです。
また古くて酸化しているのは、当然のことながら品質の劣化が考えられるので避けます。
特に抽出した後の“搾りカス”や沈殿物を混ぜたものが細工されて、一見きれいな「原塊」として流通している悪質なケースがあるので、よく調べて、そうしたものは絶対に購入すべきではありません。
この場合、薬効成分もほとんどなくなっているのは当然のことです。
購入の際は、削り落としたときのバラバラの状態のものをよく調べて購入し、ダンゴ状に固められ調べにくくなっているものは避けます。
中心部分に粗悪品が固められている可能性があるからです。
アルコール抽出のプロポリスは、水で薄めて飲用するのが一般的な飲み方です。
水に薄めると、良質のプロポリスはきれいな黄色になります。
これは、プロポリスの薬効主成分がフラボノイドだからです。
フラボノイドはフラボン類といわれますが、フラボンとはギリシャ語で“黄色の”という意味で、アルカリ性で黄色に発色する性質を持っているからです。
香りについては、良質のプロポリスは、甘い芳醇な深みのあるよい香りがします。
これには、熟成期間も影響しています。
熟成期間は、蜂毒が抜けるためにも、またアルコールの不要部分のアセトアルデヒドを飛ばすためにも必要な“ねかし期間”で、1年以上の期間が必要です。
熟成していないプロポリスは、刺激臭だけが強く感じられます。
味については、良質なプロポリスは、液体・原塊を問わず、口に含んだ時にピリッとした一時的刺激を感じ、その後、すぐに刺激は消滅します。
いつまでも、ビリビリと不快な刺激や味が残るものは避けたほうがいいでしょう。
プロポリスの規格基準については、名称、原材料名、内容量、製造所、輸入業者名、規格成分やその含有量などを表示することが要求されていますが、食品という人の口に入る商品として、また、製造・販売責任を明確にするためにも当然のことです。
何よりも、細かな内容について問合わせに応じられる業者であることは、健康を担っている以上、必要な条件となります。
ところで、プロポリスは食品ですから、海外から輸入する場合に厚生労働大臣への食品等輸入届出書が必要で、それに基づきブラジルからの送り状(インボイス)、検閲、税関などの厳重な審査を経て、はじめて輸入許可通知書が発行されます。
しかし、以上の手続きを経ないで、いわゆる“担ぎ屋”さんが日本に原塊を持ち込み(密輸の形)、日本国内で抽出・製造されている場合が少なくないという実情があります。
人の口に入る食品としてのチェック(有害物質、農薬混入検査など)がされていないわけですから、健康の問題としても重大ですし、また国民の義務としての関税を納入しないのも、業者としてのモラルが問われると思います。
プロポリスへの信頼性をなくすることにもつながりかねないと、懸念される問題です。
ところで、出荷側のプラジルでも、正規に輸出許可、証明がおりるのは、ブラジル政府・農務省が設けた品質保証規格に合格し、工場設備や衛生面の基準がクリアされている証明書、すなわち「S・I・F」(シフマーク)を有する業者が大原則です。
この「S・I・F」マークを有する業者が製造したか否かは、日本の消費者にとっては一つの安全衛生上の判断基準となります。
私もプラジルの現地で、日本の消費者に直接に郵送しているプロポリスだといって、民家の土間の土の上に並べられた空きビンを利用したプロポリス製造現場を何回か見かけて、ぞっとする思いをしたことがあります。
このような実態を考えると、「S・I・F」マークの有無は重要だと思います。
プロポリスはたいへん高価なものなので、少しでも安く手に入るなら、それを求めたいという方もいらっしゃるでしょう。
しかし、安価なものには、このように品質や安全性に疑問が付くものもあるのです。
プロポリスを購入されるときは、ぜひ「S・I・F」マークを確認するようにしてください。
プロポリスの保存容器については、日光遮断のための茶色などの色つきガラスビンが紫外線による変質防止対策上いいです。
ポリ容器やプラスチック容器の場合には、容器の成分が溶け出し、容器の底に白く沈殿しているものを見受けますが、安全性上問題が生じます。
保存場所は、直射日光と高温多湿の場所を避けてください。
常温でも冷蔵庫内でもかまいません。
【Q】広告やダイレクトメールにたくさんのプロポリスが紹介されていますが、ブラジル産の薬効が優れているという根拠は何でしょうか?
【A】ミツバチが採集してくる樹木というのは、プラジル、ヨーロッパ、オーストラリア、中国など森林帯によって大きく異なり、バッカリス、ポプラ、ユーカリ、ヤナギ、カバ、トチノキ、ブナ、カシ、マツ、モミなど種々雑多ですが、これらの樹木の特性でプロポリスの有効成分の種類に影響が出てくるのです。
これらの樹木のなかでも芳香性が強いのがユーカリ系、殺菌作用が特に強いのがバッカリス系です。
イギリスのハープソサエティ編の『メディカルハープ』のなかに、樹脂成分、揮発油成分、苦み成分、タンニンなどで、効能として殺菌作用、解熱作用、血糖低下作用、駆虫作用などがあると紹介されています。
フラボノイドについては、これまでも述べたように、優れた薬効作用があるものがあることを考えると、ブラジル産プロポリスの素晴らしさがよくお分かりいただけると思います。